Clients Interview
テラジマアーキテクツは、創業以来60年にわたりデザイン住宅を手がけてきた建築設計事務所です。今でこそ、アートアンドサイエンスとともに進めているプロジェクトは多岐にわたりますが、初めに相談したのは、当社の建築実績を紹介するWebサイト「kenchikuka.co.jp」のリニューアルでした。実績や、その時々で必要だと考えたコンテンツを次々と追加していくうちに、情報整理がおろそかになり、お客さまにとって見づらく、求める情報を取得しづらいサイトになってしまっていたのです。
制作パートナーは、当社の付加価値戦略を理解し、同じ目線・感覚で価値判断ができる企業であるべきだと考えていました。物事の考え方や行動原理、表現のセンスが合うパートナーとともに、Webサイトリニューアルを通じて、テラジマアーキテクツのブランド価値向上に取り組みたいと思ったのです。
Web業界の最新トレンドを盛り込むこと、テクニカルな工夫を凝らすことも重要だとは思いますが、それだけでは意味がない。当社の目指す姿や事業方針、カルチャーに合ったものでなければ、「良いものをつくった」とは言えません。テラジマが今後目指していくべき方向性を明確にした上で、テラジマらしいWebサイトのあり方を構想し、その実現のために最適な内容・表現を選択していくことが大切です。単なるWeb制作会社ではなく、価値観を共有できるパートナーを得たいと考えたのはそのためです。
アートアンドサイエンスには、初めて会ったときから、何か新しいことを提案してくれそうなチャレンジングな雰囲気を感じました。当社の事業や強みを理解し、目指すべき方向性を共有しつつ、ブランディングのプロの立場から私たちが思ってもみなかったアイデアを提案してくれそうだと期待感を持ったのを覚えています。
実績サイト「kenchikuka.co.jp」のリニューアルと並行して、オウンドメディア「More life lab.(モアライフ・ラボ)」の立ち上げも進めました。構想は数年前から持っていたのですが、実績サイトと同じパートナーと、トータルで進めていくのがいいだろうと考え、いよいよ実行に移したのです。
テラジマアーキテクツの強みは大きく2つ、お客さまの要望や理想を具現化するデザイン・設計力と、職人集団「建心会」との協力体制による質の高い施工技術です。もちろん、実績紹介を通じて訴求できる部分は多いですが、数ある注文住宅設計事務所の中でテラジマアーキテクツの独自性・存在感をさらに強化するためには、住まいづくりに関する私たちの知見や考え方・価値観を発信する必要があるのではないかと考えていました。その発信の場として、オウンドメディアを立ち上げることにしたのです。
一人ひとりのお客さまの要望や理想と向き合い、それを住まいとして具現化し続けてきた私たちが、注文住宅だからこそ実現できる、豊かな暮らしを送るためのアイデアやヒントを発信する。これは、当社の魅力訴求にとどまらず、注文住宅そのものに興味・関心を持つ人、価値を感じる人を増やすことにもつながります。
目下の目標は、「More life lab.」の、メディアとしての存在感を高めることです。注文住宅の魅力を伝え、そのつくり手であるテラジマアーキテクツの存在感・魅力度を高める。それは、都内を中心に住まいづくりをしてきた当社のビジネスチャンスを増やしていくことにほかなりません。その役割を担うメディアを、長期的な視点で、アートアンドサイエンスと一緒に育てていきたいと考えています。
アートアンドサイエンスがいわゆる「Web制作会社」と異なるのは、ビジョンやコンセプトの策定、ターゲット設定など、デザインやコンテンツを考える前の段階、ブランド・アイデンティティを定義することからスタートするところです。SEO運営などテクニカルな部分に偏重せず、ブランディングの手法でデザイン・コンテンツを考え、具現化する点に魅力を感じています。
建築実績サイト「kenchikuka.co.jp」では、実績写真の表示サイズやレイアウト、スクロールした時の動作など、テラジマらしさを感じさせる演出が効いています。テラジマのつくる住宅の価値を何よりも強く訴求できるのが実績写真ですから、建物を最大限に美しく見せ、複数の邸宅・空間を次々と閲覧したくなるようなページ設計が重要でした。
テラジマのパートナーである職人集団「建心会」の職人の皆さんのポートレートも、リニューアルに際して新たに撮影しました。プロフェッショナルのストイックさや気迫を感じさせるモノクロの写真が、大変気に入っています。社員のポートレートも撮り下ろしましたが、これは社員にとっても良い刺激になったと思います。将来の事業拡大に向けて、テラジマがいま大きく変わろうとしていることを、体感・理解する機会になったはずです。
オウンドメディア「More Life Lab.」は、ネーミングおよびロゴデザインからお願いしました。ロゴデータと合わせて納品された「ロゴマニュアル」には、サイズやカラーなどのレギュレーションだけではなく、ネーミングやロゴに込められた意味や、「More Life Lab.」が目指す方向性も記載されていて、生み出されたデザインに強い説得力を感じました。
アートアンドサイエンスのブランディングのプロとしてのブレない意見が、当社、そして私の意思決定の背中を押してくれたと感じています。記事コンテンツで使用するフォントひとつとっても、ブランドイメージの効果的な訴求とメディアとしての読みやすさのバランスをどうとるか、明確な方針・意図をもって提案してくれました。「物事を提案する側」にとって最も楽なのは、お客さまに言われるままに対応すること。それは、住まいづくりでも同じですから、よくわかります。しかし私自身、専門家として「こうしたほうがいい」と考えることは、積極的に主張・提案すべきだと思っています。そのほうが、最終的に良いものが出来上がる。成果物のクオリティだけではなく、そうした活発なコミュニケーションができることにも、アートアンドサイエンスと仕事をすることの価値を感じています。
ひととおりブランディングを行っても、ビジネスを進めていく中で徐々に方針にブレが生じるのは、よくあること。そんな時、いつでも立ち戻ることができる“拠りどころ”の存在は重要です。「More Life Lab.」構築の過程で設定した「ブランドビジョン」(ブランドとして提供する価値を、ターゲット・顧客視点で言語化したもの)が、それにあたりますね。テラジマアーキテクツのあらゆるアウトプットのデザインを貫くルールであり、経営・事業の指針でもあるととらえています。
もちろん、これまでもテラジマアーキテクツの進むべき方向性、将来像はさまざまな形で構想してきましたが、今回それをきちんと言語化したことで、全スタッフの間であらためて共有することができました。「More Life Lab.」に関する会話のシーンだけではなく、実務現場における会話でも、「私たちのお客さまはこういう方々で、私たちはこういう価値を提供していきたい」という趣旨の会話が、今回設定した言葉を使って行われています。
そんな社内の変化を見るにつけ、Webサイトという具体的な制作物以上のもの、テラジマアーキテクツにとって“財産”とも言えるものを、つくってもらったのだと感じています。アートアンドサイエンスと仕事をしてワクワクするのは、「この先、テラジマアーキテクツをこんなふうに成長させていきたいですね」という、少し先の未来の話ができることです。それができるパートナーは、そう多くないと思います。目指すゴールは共有できているのでこれからはそこに向かって、施策を着実に実行し、積み重ねていくだけ。今後もプロの視点を持ちつつ、当社の状況に寄り添いながら、やるべきことを遂行してくれると期待しています。
テラジマアーキテクツ
株式会社 テラジマアーキテクツ
深澤 彰司
建設・住宅・インテリア