Insights
#005

METHOD 01
中小企業向けブランディング
一貫性のあるコミュニケーションのために

2024.04.18

中小企業のお客様から「ブランディングをやりたい」というご相談をいただくことが多くあります。その課題は様々ですが、ここではロゴやミッション/ビジョン/バリューはすでに存在しているが、「ブランドとしてのコミュニケーションが一貫していない」という課題に応える私たちのフレームワークをご紹介したいと思います。
「ブランディングをやりたい」が、何から手をつけたら良いか分からない、という多くのお悩みを解決するブランディングのワークフローにもなっています。

ブランドのコミュニケーションは何から成り立っているか?

ブランディングコミュニケーションの方程式

一貫性のあるブランドコミュニケーションを生み出すために必要なこと。それには3つの観点があります。それは、「誰が言うか(Who Say)」「何を言うか(What to say)」「どう言うか(How say)」の3つです。これらは、それぞれ「ブランドアイデンティティ」「ブランドインテグリティ」「ブランドイメージ」というそれぞれブランディングの手法が対応します。
「ブランドアイデンティティ」とは、ブランドの区別・識別を担うもので、ロゴやデザインに相当します。「ブランドインテグリティ」とは聞き慣れないかも知れませんが、真摯さや誠実さを意味し、ブランドの約束・説明責任を担うもので、ブランドのステイトメントやマニフェストに相当します。ブランドイメージはブランドの性格・印象を担うもので、ブランドの印象管理に相当します。印象管理とは、ブランドにふさわしい口調や写真・イラストのトーンを規定するガイドラインのことです。私たちのブランディングのソリューションでは、これら3つの項目を適切に導き出すために、さらに9つのブランディングコミュニケーションの要素を検討します。

ブランディングの9つの要素と3つのトライアングル

ブランディングコミュニケーションの3項目を構築するために、検討する9つのブランディングの要素とは、「ブランドのメッセージ」「ブランドのプロミス」「ブランドのストーリー」「ブランドのVI(ヴィジュアルアイデンティティ)」「ブランドのパーソナリティ」「ブランドのスタイリング」そして、「顧客のインサイト」「ブランドのカテゴリ」「ブランドの独自の価値」です。
これらは「顧客のインサイト」「ブランドのカテゴリ」「ブランドの独自の価値」で「ブランド価値」を表し、「ブランドのプロミス」「ブランドのVI(ヴィジュアルアイデンティティ)」「ブランドのパーソナリティ」で「ブランドのエッセンス」を表し、「ブランドのメッセージ」「ブランドのストーリー」「ブランドのスタイリング」で「ブランドビヘイビア」を表し、それぞれ3つの三角形が重なって9つの要素を網羅しているため、ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングルと呼んでいます。
トリプルトライアングルの3辺は、「誰が言うか(Who Say)」「何を言うか(What to say)」「どう言うか(How say)」を定義しており、これらの9要素・3カテゴリを検討することで、ブランドの「VIデザイン」「ステイトメント」「印象管理」を構築することができるようになります。

「ブランド価値」を構成する3要素

ブランド価値のトライアングル

「インサイト」は、顧客やユーザーが潜在意識の中に持つ深い欲求の状態です。しばしばそれは矛盾した内容を含みます。例えば本来両立しない「AなのにB」であって欲しい、といった現実にはまだ満たされていない潜在的なニーズです。
「カテゴリ」は、顧客やユーザーがブランドを想定せず期待する業界や製品・サービスのことです。競合を含むブランドの属するカテゴリ全体です。単に産業やビジネスの種類だけでなく、同じジョブ(同じ役割を果たすもの)、同じタイム(同じく時間を要するもの)も競合・同一カテゴリとして検討します。例えば、ファーストフードとコンビニエンスストアを競合・同一カテゴリとして見たり、書籍とSNSを競合・同一カテゴリとして見たりといったことができます。
これらの、「カテゴリ」に対して顧客やユーザーが求める必要最低限の共通する価値が「カテゴリ(の価値)」となります。
「独自の価値」は、そのブランドだけが提供できる価値です。カテゴリの中で、そのブランドが持つ差別性・特徴と言えます。
これらの3つはブランドの存在意義を定義する構成要素です。顧客視点であるべき理想の「ブランド価値」とは一体何なのか議論します。

「ブランドエッセンス」を構成する3つの要素

ブランドエッセンスのトライアングル

「プロミス」は、いわば現時点でのブランドのコンセプトです。ミッションが起源、ビジョンが未来を表現するコンセプトだとすると、「プロミス」は現在の在り方を表現するコンセプトです。
「VI」は、ブランドのロゴ、ブランドのカラー、ブランドのフォントなどを統合したブランドのヴィジュアルデザイン全体の規定です。
「パーソナリティ」は、ブランドを人格に例えた時に定義することができる性格や人柄です。
これらの3つはブランディングデザインを形作る基本となる構成要素です。既存の「ブランドエッセンス」がいまどのような状態になるか見定め、あるべき「ブランドエッセンス」はどのようなものか議論します。

「ブランドビヘイビア」を構成する3つの要素

ブランドビヘイビアのトライアングル

「メッセージ」は、ミッション/ビジョン/バリューのビジョンに相当するものと考え議論します。それは「ブランドが思い描く理想の未来」です。
「ストーリー」は、ミッション/ビジョン/バリューのミッションに相当するものと考え議論します。それは「ブランドがその起源から負っている使命」です。
「スタイリング」は、ブランドの振る舞いのトーンです。例えば、エレガントなのかクールなのかワイルドなのか。ブランドを人格に例えた時に定義することができるブランドにふさわしいスタイルや振る舞い方です。
これらの3つはブランドの立ち振る舞いや言動を形作る基本となる構成要素です。既存の「ブランドビヘイビア」がいまどのような状態になるか見定め、どのような「ブランドビヘイビア」がふさわしいか議論します。

ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングル

ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングル②

9つの要素について議論を重ね、あるべき理想の9要素を定義できたら、ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングルが完成します。このトリプルトライアングルの3辺は、それぞれ「誰が言うか(Who Say)」「何を言うか(What to say)」「どう言うか(How say)」に対応しており、それは「ブランドアイデンティティ」「ブランドインテグリティ」「ブランドイメージ」に相当します。それぞれを実行するソリューションは、「ブランドアイデンティティ」は「VIデザイン」、「ブランドインテグリティ」は「ステイトメント」、「ブランドイメージ」は「印象管理」となりますので、「VIデザイン」を構築する際には、「メッセージ」「VI」「スタイリング」を重点的に検討し導き出し、「ステイトメント」を実行する際には「メッセージ」「プロミス」「ストーリー」を重点的に検討し導き出し、「印象管理」を構築する際には、「ストーリー」「パーソナリティ」「スタイリング」を重点的に検討し導き出します。

ブランドの在り方を議論し定義してコミュニケーションの統一を図る

ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングルは、アウトプットしての「VIデザイン」「ステイトメント」「印象管理」にいわば根拠を与えるものです。まずお客様企業と一緒にトリプルトライアングルについて議論を行うことで、具体的なデザインや言葉を検討する以前に、「誰が言うか(Who Say)」「何を言うか(What to say)」「どう言うか(How say)」について、深く考え、プロジェクトチームで認識を共有することができるようになります。その結果を踏まえて私たちが提案する「VIデザイン」や「ステイトメント」や「印象管理」が、ブランドにとって適切なものかどうかの価値判断が透明になります。お客様企業がブランディングデザイン会社やブランディングコンサルティング会社の提案に受動的に関わるのではなく、能動的にブランドの在り方について考えることができるようになるツール、それがブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングルです。

中小企業のブランディングに最適化されたフレームワーク

ブランディングコンサルティングのワークフロー

ブランディングコミュニケーションのトリプルトライアングルは、特に中小企業のブランディングに適していると私たちは考えています。
すでにロゴやミッション/ビジョン/バリューは存在しているが、コミュニケーションに統一感がない。会社案内や採用案内、広告やサイン、製品・サービス、Webサイトなどのデザインやトーンを統一したいが、何を軸に統一を図れば良いか分からない。そういった中小企業が持つブランディングの課題に応える過不足のない必要十分なフレームワークです。
私たちの「ブランディングコミュニケーション:一貫性のあるブランドづくり」ソリューションでは、このトリプルトライアングルをベースにお客様企業のプロジェクトチームと議論を重ねブランディングコミュニケーションのデザインを行います。ワークショップ型式やインタビュー形式などお客様企業のニーズに応じた様々なサービスがご提供可能です。

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