arema

(キングジム)

ワークショップ形式でコンセプトからデザインする新商品ブランドの開発

オフィスの定番製品となったパイプ式ファイル「キングファイル」や、ラベルプリンター「テプラ」、デジタルメモ「ポメラ」など、他にないユニークなアイデア商品の開発で知られるキングジム。同社が新たに立ち上げることになったシニア向け新製品ラインのコンセプト策定、ネーミング、ロゴデザイン、VI計画などをトータルで手掛けました。
同社がこれまで世に送り出してきた商品は、開発者個人の自由な発想が起点となって実現したものがほとんど。そこに卓越したオリジナリティの源泉があります。一方で、コンセプトを起点とする「ブランドの開発」は、経験・ノウハウがありませんでした。商品一つひとつを見ればキングジムらしいユニークさがありながら、どの商品にも「キングジムだから実現できるシニア向けブランド」としてのコンセプトが通底している――そんな一貫性のあるブランドとして中長期的に育てていける新シリーズを生み出したいというのが、キングジムの要望でした。
そこでアートアンドサイエンスが提案したのは、独自のブランディング・メソッドである5BSに基づくブランド開発と、ワークショップを活用したデザイン思考の手法を取り入れた商品開発。ブランドのローンチ時期が迫っていたこともあり、ブランディングと商品開発、両方のプロセスを同時並行で進めていきました。具体的には、ブランドの提供価値「ブランドビジョン」を策定しながら、疑似観察/ブレインストーミング/ディスカッションを組み合わせた商品企画・開発を行いました。「ブランドビジョン」策定の過程で導き出される「(キングジムの)コア能力」と「ブランドターゲット」を念頭に置きながら新ブランドにふさわしい商品アイデアを量産。そして確定した「ブランドビジョン」と照らし合わせながら、実現すべき商品を絞り込み、プロトタイピングを進めました。
少子高齢化が進む中、さまざまな業種業態の企業から、実に多様なシニア向けの商品・サービス、ブランドが打ち出されています。「キングジムだから実現できるシニア向けブランド」のコンセプトを言語化し、ブランド開発の最初期段階で共有化しておくことが、今後のブランド開発における強力な差別化につながると考え粘り強く実行しました。

製品とユーザーの関係性からデザインするユニークなブランド・ネーミング

ブランドの提供価値「ブランドビジョン」を踏まえ、導き出した新ブランドのコンセプトは「ちょっとの工夫で毎日を変えよう」。ユニークなアイデア商品を取り入れるという「工夫」によって、日常生活や人生をより生き生きにしたものにしよう――そんな、日々の暮らしをちょっと特別なものにしたいと考えているターゲットに向けたメッセージになっています。そして、このコンセプトに基づいて生み出したブランド名が「arema(あれま)」です。
使った自分が「あれま」。商品を見た友人が「あれま」。プレゼントされて「あれま」。このブランドの商品に触れたとき得られる、軽い驚き、ちょっとの関心、少しの喜び。そのとき思わず口をついて出てくる「あれま!」という感嘆詞をそのままブランド名としました。いわゆる一般的なシニア向け製品は、ともすると「不安や不満の解消というマイナスを低減する方向」へとコンセプトが偏りがちですが、「あれま」というユーモアのある楽観的な言葉をブランド名に冠することで、シニア向け製品の存在そのものを「日常を彩るポジティブでフレンドリーな創造性溢れる領域」として捉え直して欲しいと考えました。
ブランドのWebサイトやカタログ、各商品のパッケージデザインなど、多岐にわたるタッチポイントにおいて、コンセプトやネーミングをより効果的に訴求するためのトーン&マナーを設計。VI(ビジュアル・アイデンティティ)デザインを総合的に整備しました。今後、ジャンルを問わず多様な商品がラインナップされていくことが想定されるからこそ、どの商品を手にとっても、どのタッチポイントに触れても、「arema」として一貫した印象を与えることができるようデザインしています。 ロゴマークは、ブランドを通じてターゲットが実現していく「イキイキとした毎日」を象徴するような、軽やかで親しみやすい造形に。「a」の吹き出し状の形は、まるでロゴマーク自身が「あれま」と口に出しているかのようにも見えます。すべてのデザインを貫くキーカラーには、日々の暮らしに張り合いと活力を与えるブランドらしい、鮮やかなグリーンを設定。ターゲットを意識し、視認性にも配慮しています。そして、キービジュアルとして象徴となる「あれま」と驚きの表情を浮かべたキャラクターも制作しました。
これらはいわば、ブランドに触れた人に思わず「あれま」と口にしてもらいながら、提供価値やコンセプトを直感的に理解してもらうための“仕掛け”でもあります。そして同時に、追加ラインナップされていくシリーズ商品の開発においても、常にブランドが立ち戻べき「顧客視点」の象徴として機能するべきだと考えています。『この新商品は顧客に「あれま」と言って貰えるか?』そのような自問自答の継続が強いブランドを生み出していく条件になるのです。

Project Type

製品ブランディング

Lead a project

飯野翔太
飯野翔太
Branding Strategy Director
斎藤千明
斎藤千明
Strategic Planner
岩本美奈子
岩本美奈子
Branding Styling Director
伊藤崇志
伊藤崇志
Graphic Designer

  • arema ブランドロゴデザイン

  • arema ブランドロゴデザイン

arema 商品パッケージデザイン

Get Up and Go