顧客にとって特別な存在になるために

第四次産業革命以降の世界といわれる現代において、顧客と企業のコミュニケーションの在り方はそれ以前と比べて大きく変わりました。
顧客は常時大量の情報を浴びながら、同時に情報の発信主体にもなりました。モノは所有するものからシェアするものになり、企業や商品・サービスとの関係性は長期間かけて共創的に構築するものに変わりました。顧客は、企業や商品・サービスに、機能制や利便性だけでなく、社会性やビジョン、楽しさや驚きを期待するようになっており、自分にとって「特別な存在」を探し求めるようになっています。
そして、多くの企業は、ネットワークやAIの進歩によるデータを活用したサービスの改善・展開を進めており、「モノとネットワーク」や「リアルとデジタル」といった境界がもはや不要となるシステムをあらゆる産業領域に向けて推し進めています。
インターネットの時代、スマートフォンの時代、そしてIoTの時代に至り、いま私たちが暮らすこの社会は、顧客と企業にとって新しい「情報と価値」の世界に変わろうとしています。

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キーワードは識別価値と体験価値

従来の “ブランディング” は「見た目のデザイン性の差別化と管理」つまり、名称、言葉、シンボル、デザイン、あるいはそれらの組み合わせをマネジメントする「スタイリングとしてのデザイン戦略」を意味することが多く、デザインの統一感や、デザインの一貫したコンセプト、さらに進んで「らしさ」といわれるパーソナリティの確立を目指すことが中心でした。いわばそれらは、企業の自己規定に合致する外見の「印象管理」を行うものでした。
しかしいま、情報量の圧倒的膨大化、顧客接点の細分化と伸張化などにより、ブランドは企業自らの適切な自己規定によってのみ構築できるようなものではなくなりました。ブランドはいまや、企業の戦略的資産というだけでなく、また企業の理念や在り方を表現する自己形成の一環というだけでもなく、企業が目指す「顧客体験の最終成果」を定義する新しい意味づけを持っています。
ゲットアップアンドデザインは「ブランド＝顧客体験」という変化に対応した企業ブランディングの新しいメソドロジーを構築するべく、デザインの制作現場の実践的課題と経験をベースに、その体系化に取り組んできました。顧客にユニークなブランド体験を提供するエクスペリエンスデザインと、顧客の記憶を刷新するアイデンティフィケーションデザインという二つの領域を “ブランドビジョン” という新しい概念を中心に掛け合わせることで、体験価値と識別価値を戦略的に構築することができるメソドロジーが私たちの5ブランディングソリューションズです。
それは、クリエイティブデザインとビジネスデザイン、理性への訴求と感性への訴求、という現代のコミュニケーション戦略上重要な枠組みにも応えられる、新時代のブランディングの基盤となる体系です。